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2026.05.12

信州で出会う、おいしい時間

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スタッフ名:小田桐

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風土をめぐる、4つの食の景色
 いきなりですが、旅の記憶というのは、食と結びついているなぁと感じます。学生の頃はじめて一人旅した時のことを、今でもふと思い出すのですが、現地で入ったお店、接客、出てきたお料理、は時間が経った今でも鮮明に思い出せます。注文したのは、その土地の名物だったひと皿でした。特別高級なものでもなく、派手さがあるものでもありませんでしたが、観光客である私にお店の方がとてもよくしてくださって、あの時の味と、あの時のやさしさは、今でも色褪せないです。

 信州は77市町村があり、とても広い土地を持ちます。そのため、同じ長野県内でも場所によって気候も全く異なり、その土地の特産物も様々です。今回のブログでは、信州を巡る中で出会った、ただ美味しいだけではない、その土地ならではの時間や空気管を感じさせてくれる4つのお店をご紹介していきます。
火の気配に包まれてゆっくりと味わう自在堂
     今回いただいたのは、名物のポルケッタランチです。スープ、前菜、玄米ピラフ、そしてポルケッタ。構成はシンプルながらひと皿ごとに丁寧に整えられています。主役のポルケッタは、ハーブと酒粕で仕込まれた一品で外側は薪火で香ばしく焼き上げられカリッと、中はしっとりとやわらかくジュージーな味わいです。噛むほどに広がるうまみと、発酵のほのかなニュアンスがたまらなく、玄米ピラフもどんどん進みます。ピラフが添えてあるせいか、どこか和の要素も感じさせる、奥行きのある味わいです。ひと皿を急いで食べるのではなく、ゆっくりと向き合うように味わう時間でした。

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    春をそのまま一皿に オステリアアジアート
       八ヶ岳のふもと、木々に囲まれた静かな場所。ナビを頼りに(ナビを頼らないと通り過ぎてしまいそうな場所に)、ひっそりと現れる古民家のレストランです。店内に入ると、柔らかな光と木の質感に包まれ、薪ストーブがあったり、どこか懐かしさを感じる空間が広がります。外の景色とゆるやかにつながるような空気感が印象的なお店です。

       まず運ばれてくる前菜は、新にんじんやじゃがいもなど、どれもシンプルでありながら、素材の力をしっかりと感じるものです。ひとつひとつに手間がかけられていて野菜そのものの味わいが、まっすぐに伝わってきます。メインは、選べるようになっていて、今回私は筍と菜の花のトマトソースパスタにしました。春の食材ならではのほろ苦さと香りに、トマトの酸味が軽やかに重なり、口に運ぶたびに季節の輪郭が立ち上がるような、そんなイメージです。前菜やメインももちろん美味しかったのですが、食後の八ヶ岳ミルクを使用したジェラートが感動的な美味しさでした。ミルクのやわらかな甘さと、すっと消える後味。そして自家製のルバーブといちごを使ったジャムの程よい酸味が抜群です。

       お店はご夫婦お二人で回しているそうですので、できる限り事前予約をしてから伺うことをおすすめします。ここで過ごす時間は、どこか穏やかで、料理を通して季節を感じることの豊かさを思い出させてくれました。
       

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      軽井沢暮らしに寄り添うホースアンドザサン
       軽井沢・レイクニュータウンの奥。観光地の喧騒から少し離れた場所に、静かに佇むカフェがあります。店内には、全国のつくり手から届いた食品や雑貨が並び、そのひとつひとつに、背景となる物語を感じさせてくれます。ついつい、商品を手に取ってパッケージやラベルを熟読してしまいます。食べることと、暮らすことが自然につながっているような空間だなぁと感じました。

       この日は、カレーライスや自家製フォカッチャサンドを注文。どれも派手ではないけれど、しっかりとした味の軸があり、家族でシェアしながら食べることで、食事そのものがゆっくりとした時間に変わっていきました。名物のドーナツは、お土産にテイクアウトすることにしました。

       軽やかな食感とやさしい甘さが印象的で、シンプルながら、これぞ王道のドーナツ!という気がして、大ファンにになりました。

       そして、家族が頼んでいたかぼちゃプリン。濃厚でありながら、重たさを感じさせない絶妙な仕上がり。ここでは、食べることを急ぐ必要がないんだなぁと、軽井沢の午後に、自然と呼吸を合わせるような、そんな時間が流れていました。

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      そばと向き合う、静かなひととき華留運
       長野の食文化を語る上で欠かせない、お蕎麦。その中でも、高遠のそばは、独自の存在感を持っています。訪れたのは、手打ちそばの店・華留運(けるん)。静かな佇まいの中で、丁寧に打たれた蕎麦が提供されます。今回いただいたのは、数量限定の「高達そば」。ひと口すすった瞬間に広がる豊かな香り、その強さに、思わず衝撃を受けました。

       まずは何もつけずに食べるべき、そう思わせるほどに、そばそのものが完成されています。こちらでは焼き味噌を辛味大根のしぼり汁に入れて食べるのが昔からこの地方に伝わる食べ方だそうです。さらにくるみつゆもついてきましたが、どちらも絶品でした。お蕎麦好きな方にこそ召し上がっていただきたいです。静かに、深く、記憶に残る一杯でした。

      華留運(けるん)の詳細はこちら

      まとめ
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       季節の移ろい、暮らしに寄り添うやさしさ、そして、風土そのものの味。それぞれのお店で感じたのは、料理を超えた、その土地とのつながりでした。信州の食は、ただ美味しいだけではなく、そこに流れる時間や空気を静かに運んでくれます。少し足をのばして、出会う味。

       そのひと皿が、旅の記憶を豊かにしてくれます。
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