初夏は美味しい物が盛り沢山な渥美半島
露地メロンにマスクメロン、スイカ、スイートコーンと、美味しいものが只今続々と最盛期を迎えている渥美半島。
どれも期間限定の初夏グルメで甲乙つけがたい旬の味覚なのですが、折角半島の先端・伊良湖岬までお越しになるなら、農産物系はお土産に持ち帰っていただいて。
ランチには是非、現地で味わうしかない『初夏の海の幸』を堪能していきたいところ。
今日は、6月・7月・8月の伊良湖岬旅なら絶対に外せない! 名物『岩ガキ』をご紹介したいと思います。
岩ガキとは?
漢字で書くと岩牡蠣。岩がき、岩カキ、とも呼ばれています。
他の地方でよく冬場のお鍋や小さいフライで登場する『牡蠣(カキ)=真牡蠣(マガキ)』と同属ですが別種でして、個人の感想ですが中身の身の体長はほぼ倍、容積は多分3~4倍あるように思います。出回る時期も正反対で、伊良湖岬の天然岩ガキの旬は初夏。「産卵を終えて痩せてしまうお盆位までがオススメ」と言われています。
伊良湖岬周辺の、海鮮を扱うお店に初夏に行けば大抵、単品で注文することができます(定食で頼めることも!)。一般的なのは『生』『焼き』『フライ』。どれも絶品ですが、個人的には、折角生きているものから捌いてもらえるので、生がイチオシでございます。
岩ガキを食べに、いざ『恋路ヶ浜』へ!
絶対にデカイ岩牡蠣が食べたい! ということで向かったのは、伊良湖岬で海の幸を食べるのにまず候補に挙がるであろうスポット・『恋路ヶ浜(こいじがはま)』。岬先端にある、昔々の恋人たちの伝説が残る風光明媚な浜辺でして、その駐車場前にはおいしい海鮮が食べられる食事処が建ち並んでいるのです。
人気の観光地なのは重々承知しているので、今年もド平日の13時半頃に尋ねてみました、が、……んんん流石! 駐車場がまぁまぁ混んでいらっしゃる! 伊良湖岬灯台へ行く方も使う無料駐車場のためいつも賑わっている印象がありますが、6~8月の渥美半島は『メロン狩り』のシーズンで、特に観光の方が多い季節なのです。車の奥には観光バスや、ズラリと並んだバイクも見えます。暑くなりすぎる前の岬ツーリング、きっと最高ですよね。
まぁ多少混んでいても大丈夫。恋路ヶ浜のお店の方は、お盆・正月・G.W.の超絶混雑も捌ききってウン十年の猛者方ですから、この程度の客入りなど正直そよ風でございましょう。
岩ガキとその他の美味しい海の幸が食べられるお店を求めて、掲示してくれてあるメニュー表看板を見て周ります。どれも凄く美味しそうなので困ります……。
今日はお店の並びの真ん中付近・『萬八屋(まんぱちや)』さんへお邪魔することにしました。
(ちなみに、どのお店の前にも大抵テラス席?がありまして、焼きたての貝などをすぐ食べられるように店前で焼いたりなさっている方がいて、単品でも気軽に利用できます。ステキ笑顔と親切な声掛けを振りきって別のお店を見に行くには鋼鉄の心臓が要るので、気の弱い方は多分、最初に近付いたお店に入ることになります^^ 事前に心に決めているお店がある方は、そのお店前からアプローチしましょう。)
優しい! スゴイ! 美味しい! 恋路ヶ浜『萬八屋』
お好きなお席でどうぞ、と眺めのいい2階席を案内してもらいました。窓の向こうに恋路ヶ浜と水平線が見えて涼やかです。奥には座敷席もあり、人数が多いグループさんもひとところでお食事ができるようでした。
萬八屋さんの本日のメニューはこんな感じでした(青いテープを引いてあるものが、今日は取り扱いがないお食事とのことで、分かりやすくて助かります)。
岩ガキは決まっていたのですが、メインのランチが困りました。
「小食ですし、麺類でも…」と仰る方も当館のお客様には結構いらっしゃるので、そういった方にお勧めすべく三河湾のあさりがたっぷり入った『どうまい あさりうどん』にしてみようかと思っていたのですが、麦茶を持ってきてくださったお姉さんが「今日は良いカツオが入ったので1800円で『カツオ刺身定食』もできます」と提案してくれます。初夏のカツオ……! 絶対美味しいやつです。
一方、メニュー表にも美味しそうな焼き魚が。『伊良湖御膳』。刺身も焼き魚も、貝がいっぱい入った味噌汁も付いています。そんなのアルティメットじゃないですか。心がグラグラ揺れていると、他のお席で『伊良湖御膳』のオーダーが入りました。「今日の焼き魚は鯛ですが宜しいですか?」と説明しているお姉さんの声がします。伊良湖水道の真鯛なんて絶対美味しいやつじゃないですか……ッ うちのお客様方が春のグレードアップ料理で頼んでいたやつ……!
やっぱり自分もそれにしよう、と思ってホールにお姉さんが戻ってくるのを待ち構えていると、巨大貝を載せた定食を両手に、お姉さんが戻ってきました。
「お待たせしました、お刺身定食です。」
窓際の席のお客様が沸き立っています。う、うわぁぁ、そのデッカイのは平貝(タイラギ)イィィ……! びっくりしますよね、そんな普段見ないデカイ貝が出てきたら(”貝の半島”渥美半島ではお馴染みの、貝柱をメインに食べる貝です)。
お刺身定食… 多分、伊良湖御膳の隣に紹介されている、写真が省略されてしまっているメニュー、『お刺身御膳』とみました。
自分も! 自分もそれが良いです……!
「すいません、今日のお刺身御膳には平貝が入っているんですか?」
念のために、伺ってみました。”お刺身定食”のような内容お任せのメニューは大抵どこのお店でも、仕入れた海の幸の中から盛り合わせてくれるので、途中で魚種が変わるのはあるあるです。あちらのお席で平貝が出ても、こちらの席で同じものが出るとは限りません(焼き魚もそうなんですけども)。
お姉さんはほぼ満席のホールを一人で切り盛りしてずっとお忙しそうな最中でしたが、「確認して参ります、少々お待ちくださいね」と厨房まで訊きに行ってくれました。
誠実ぅ…… そして大変そうな中本当にすみません……
「入っているそうですよ!」と即確認してニコニコ教えてくださったので、お刺身御膳でお願いしました。
「それと岩牡蠣を、生で、大きいやつでお願いします。」
――― 10分後。
10分で、お刺身御膳(2,300円:税込2,530円)がやって来ました。
他の卓のオーダーも色々あったのに10分でコレが出てくるとか、激戦区の調理人さんというのは凄いなぁと呆けてしまいます。
本当は、「平貝の殻に盛られたお刺身、凄く写真映えしますよね」という話をしたかったのですが、刺盛の内容に驚きすぎてすっかりそういう写真を撮るのを忘れておりました(折角の平貝が映える画角じゃなくてすみません)。
魚種、多くない???????
観光地のランチタイムのお刺身盛り合わせで9種も出てくることある???
(メカブ位に歯応えがあって美味しいワカメ刺身(都会じゃそうそう食べられない)も入れたら10種!)
しかも例のカツオも載せてくれてますし。
魚種を増やすと手間が増えますので、この盛り盛りっぷりはお店の方の心意気でしたり、優しさ。
季節ものの地の魚介がこんなに食べられるなんて、幸せです。
お味噌汁には見たことない貝がいっぱい入っていました。(沈んでしまって見えないので、少し啜って水位を下げて写しています)
お店の方に伺ったところ『沖シジミ』という貝だそうです。
”シジミ”の名前は付いていますが、マルスダレガイ科なのでアサリ・ウチムラサキ・カガミガイ・ハマグリの方に近い仲間(シジミはシジミ科)。この貝の旨味がみそ汁に色濃く溶け出していて、大変に美味です。
レジのお姉さんによると「この貝の汁にしてからとても評判が良いんですよ」とのことでしたので、来店なさる際は是非、お味噌汁もお楽しみに。
デザートは、丁度田原で収穫ピークを迎えている「スイカ」と、伊良湖岬初夏のフルーツ「イエローキング」でした。
そして、『岩牡蠣』。今年も大きいのが採れているようです。
お刺身御膳に圧倒されているうちに、『天然岩がき・生』もやってきました。
オーダー時に「大きいやつですね?」と復唱されていたので、現在の生け簀の中でも目立って大きいものを捌いてきてくださったかもしれません。今年は燃料費も高騰しているし(漁師さんの船の燃料代)、凄く値上がりしているかも? とドキドキしましたが、本日のお値段(大サイズ)1200円(税込1320円)でした。よかった……!
調理師さんと、殻を割られまいとした岩ガキとの激闘の跡が土手っ腹?に……
海女さんや海士さんが食用にと採ってくるサイズの岩ガキは一般に4歳位から、と言われています。
この岩ガキは中身の部分だけでも私の手より大きいので、10歳くらいだったりするかもしれません。
プランクトンとして海中を漂うところから始まって、稚貝として赤羽根や伊良湖岬灯台付近の岩礁にへばりついて、根魚などの来襲にも負けず頑張って大きく育っていった岩ガキの、これまでの日々を想うとちょっと哀
しくなる以上に、 お い し い い い!!!!!!!
端っこの黒いヒラヒラした部分も美味しいし、真ん中の柔らかくてとろりとクリーミィ―な部分も旨味が物凄く濃いです。
そのまま齧っても海の塩分で充分味が付いていますし、添えてくれてあるレモンを絞ればさらに爽やかになってさっぱりと食べられます。「お好みでどうぞ」とお姉さんが置いて行ってくれたポン酢も、柑橘の爽やかさと醤油の香りとが岩ガキの滋味深さを際立てます。
とにかく美味しい、ですが味が説明し難いのが、岩ガキの困ったところ。「〇〇に近いです」とお伝えしたいのですが、どうにも似たフレーバーのものが思い当たりません。滑らかさなどの感覚はシチューに近く、舌の両脇では確かに「貝」類の旨味を感じるのですが、それもミドル~ラストノートあたり。メインの味部分については『岩ガキのうまい味』と頭の悪い形容しかできないのが凡人の辛いところです。ちょっと情緒がおかしくなる感じ。
……とにかく、おいしいですので!
未体験の方は是非、一度は伊良湖岬で『岩ガキの味』、お楽しみください。
ちなみにこの岩ガキ、裏側は……
この岩ガキ、生息環境にもよるようなのですが、マガキと違って大抵、岩のような外見をしています。
普通の方はなさらないと思いますが、私はその外殻を見て「これが… 貝なのかぁ……」としげしげするのが好きです。
というわけで今回も、あの大きかった岩ガキがどんな姿で岩礁にへばりついていたのか、見てみたいと思います。
食べ終わった貝殻、裏返します。(ものすごく重い……)
………… 岩塊か、コンクリート片、のような??
潜る方々はこれをよく岩ガキだと判別して剥がしてくるなぁ、と
今年も唸らされる外殻でした。
さて、そんな岩ガキも、キラキラ輝く海も、ハウスのメロンも、シーズンはまだまだこれから。
お天気と相談して、日程に都合をつけて、
伊良湖岬に美味しい物を食べに、是非、お出かけください。
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萬八屋をお暇する際、すれ違いでやってきた初老のご夫婦が店頭のお店の方に話しかけていました。
「アレ、入ってる?」
「牡蠣、いっぱいありますよ!」
「大きいやつで。二つ。」
そして颯爽と店内へ。毎シーズンお越しの常連さんでしょうか。格好良すぎます。(調理法はやっぱり生でしょうか…)
そう、岩ガキと言えば、それを食べるためだけに伊良湖岬へ毎夏通うリピーター様もいるくらい人気の高い、初夏の風物詩なのです。皆様も是非、今年もお見逃しなく、です。
↑ちなみにこれは、萬八屋さんの生け簀水槽。↑↑
色々な人気の海の幸が、と写真を撮っていたところ、お店のお兄さんが結露を拭いてクリアに写るようにしてくれました(お仕事お忙しい中むちゃくちゃ優しい)。
水槽に入っているのが見えるように、伊良湖岬名物「おおあさり」も、こちらで食べられます。
(今回は初夏の味覚特集ブログにしたので通年味わえる「焼き大あさり」は割愛しましたが、遠方からお越しの方には年間通じて、『大あさり』が一番人気です。)
恋路ヶ浜 萬八屋 公式HPはこちらから
岩ガキや初夏の味覚が食べられる今のうちに、渥美旅!
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