このところ、スマホやパソコン等の画面上に過剰な期待を抱かせる天文情報やPRをよく見ます。「期待して見る→見えなかった→失望!」という図式が見えますので、この場で紹介しておきましょう。それらには、パターンがあって、
① 膨大なデータから期待を抱かせそうなものを取り上げ誇大表示するもの、
② 可能性があまり高くないものでも誇大に表示するもの、
③ 一般人的感覚から事実を誇大表示するもの、
- の3つがあります。
(上の写真は、休暇村裏磐梯から見た夏の天の川です。)
- ①の例は、昨年2021年11月19日の部分月食の時に見られました。
月食では、地球の影に月が入る度合いを「食分」と言い、食分1.0以上は完全に影の中に月が入る皆既月食となり、0~1だと部分的に影に入る部分月食となります。この時の食分は0.978で、かなり皆既月食に近い部分月食だったわけですが、過去に日本全国でこれ以上皆既に近い部分月食は140年振り(1881年12月6日以来)で、また今後これ以上の部分月食は65年先(2086年11月21日)までありません。そんなことから、
- 「今回ほどの月食は140年振りであり、今後65年間は同様の月食は見られない」との解釈が一部に広がりました。今年2022年11月8日には、食分1.36の見事な皆既月食があるにも関わらず、です。もちろん皆既月食の方が現象として素晴らしいのは言うまでもありません。
データで遊んだようなものです。
- ②の例は、マイナーな流星群の出現のときによく見られます。
最近、こと座流星群(4月22日頃)、オリオン座流星群(10月21日頃)などでも華々しく予報、報道されたりしますが、1時間当たりの予想最大出現流星数が10個以下のマイナーな流星群の場合は、実際はあまり見えなかったとの声が多いのがほとんどです。これには、予想出現数が理想的条件下での数値であり、実際はその数分の一程度であることも多いからです。
一般的に、年間の3大流星群とよばれる、しぶんぎ座(りゅう座)流星群(1月4日前後)、ペルセウス座流星群(8月13日前後)、ふたご座流星群(12月14日前後)あたりで、根性を入れて長い時間空を見上げないと流星群は楽しめないことが多いです。まあ流星現象はローカルで意外性のあるものなので、やめたほうがいいよ!とは言いませんが。逆に期待しないで空を見上げると、思わぬラッキー!に出会ったりもしますので、流星は水物です。
(上の写真は,2001年11月19日のしし座流星群の出現時です。)
- ③の例 は、ある望遠鏡メーカーのネット上のCMでありました。
いわく、「都会でも土星の輪が見えます!」(???)
都会の空が天体観察に適さないのは、光害により暗い星が見えなくなることです。土星や木星のような十分に明るい天体は、都会であっても見えないということはまずありません。かえって関東平野のような地形が平坦な場所は、気流の乱れが少なくよく見えることも多いのです。一般的感覚から、都会では土星の輪など見えないものだ、と決めつけてPRに逆利用した例です。
このようにネット社会では、情報過多に振り回され、確かでない情報までも堂々とまかり通ることがあります。要するに確かな情報源かどうかを見ることが大切です。一般的に薦められる確かな天文情報とは、国立天文台の「ほしぞら情報」、ウェザーニュースの「星空情報」などです。
皆さん、確実な情報をもとに星空を楽しんでください。裏磐梯の星空は日本でも第一級のものと言えますので!