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2026.10.22

-福井の食文化を紐解く- 厚みは信仰のかたち「福井の厚揚げ」

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スタッフ名:杉森

こんにちは。
前回は、若狭の海が育てた「官能の食感」アオリイカをご紹介しました。今回は舞台を海から里へ移し、福井の食卓に欠かせない、あの分厚い一枚を取り上げます。
福井県はもともと「越前」と「若狭」という別々の国でした。その成り立ちから、食文化も北の嶺北と南の嶺南でまったく違う色を持っています。海の幸が豊かな若狭に対して、嶺北の暮らしを支えてきた味の代表が、今回の主役「厚揚げ」です。

■ 福井で「油揚げ」といえば、厚揚げのこと
県外の方が福井のスーパーで驚くのが、豆腐と揚げ物売り場の充実ぶりです。
全国的に「油揚げ」といえば薄揚げを指すことが多いのですが、福井では大判で厚みのある厚揚げ(生揚げ)を意味します。福井では「あぶらげ」「おあげ」と親しまれ、店ごとに味が違い、家庭ごとに好みの味があるといわれています。 
象徴的な存在が、坂井市丸岡の老舗「谷口屋」のおあげです。大正14年創業で、縦横およそ14cm、厚さ4cm以上という大きさ。熟練の「揚げ師」が1枚に約1時間かけ、何度も手でひっくり返しながら揚げるそうです。これが地元の日常の味として根づいているのが福井です。
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■ 実は日本一。厚揚げ消費量
この厚揚げ好きは、統計にもはっきり表れています。
福井市は、都道府県庁所在市・政令指定都市のなかで、「油揚げ・がんもどき」の家計消費支出額が50年以上にわたって1位です。

■ なぜ福井に広まったのか① 浄土真宗と「報恩講」
その理由として最も有力なのが、信仰との深い結びつきです。農林水産省は、浄土真宗の仏事や法事を背景とした消費が伝統的に根づいているためと考えられる、と説明しています。福井は浄土真宗との縁が深い土地です。宗祖・親鸞の命日にあわせて門徒がお寺に集まる「報恩講」では、精進料理に油揚げを使った料理が添えられるのが一般的でした。精進料理は肉や魚を使いません。そこで、大豆から作られ、油で揚げることでコクと食べ応えが出る厚揚げが、大切なたんぱく源として重宝されたと考えられます。福井市の広報誌でも、油で揚げることで旨味とコクが出るため、昔からどの家庭でも季節の野菜と煮て食べられてきたこと、肉の代わりとして冠婚葬祭など人が集まる場で重宝されてきたことが紹介されています。

■ なぜ福井に広まったのか② 信仰の篤い土地柄
同じ広報誌では、中興の祖・蓮如上人の熱心な布教によって福井は信仰心の厚い地域になったこと、人口あたりの寺院数が日本一といわれることも、消費額1位の背景にあるかもしれないと指摘されています。 
お寺での行事と家庭の食卓が地続きで、仏事のたびに厚揚げが並ぶ。そうした暮らしが何世代も続いた結果、「厚揚げ=福井の味」が育ったのでしょう。
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■ 寺の膳から家庭の味へ
報恩講の料理から広まったとされるのが、福井の郷土料理「あぶらげごはん」です。お寺で食べる精進料理に添えられた油揚げの料理が、一般家庭に広まったものといわれています。
作り方は、厚揚げを半分の厚さに切ってさいの目にし、お米と調味料と一緒に炊飯器で炊くだけ。ほかにも、煮物、味噌汁、焼いて生姜醤油など、日々の食卓のあらゆる場面に登場します。

前回のアオリイカが、若狭の海の恵みを味わう「ハレの食」だとすれば、厚揚げは、信仰と暮らしが育てた嶺北の「日常の食」です。分厚い一枚には、お寺の膳から家庭の台所へと受け継がれてきた福井の歴史が詰まっています。
福井を訪れた際は、ぜひ地元の豆腐店で出来たての厚揚げを手に取ってみてください。

「谷口屋」 福井県坂井市丸岡町上竹田37-26-1 休暇村越前三国より車で約50分
     お食事処 谷口屋 3月~11月 10:30~15:00 冬季(12月~翌2月)11:00~14:00
     お土産処 谷口屋 3月~11月 10:30~17:00     冬季(12月~翌2月)  9:00~16:00
     電話番号 フリーダイヤル 0120-58-2202 携帯電話の場合 0776-67-2202
     ※詳細は公式ホームページをご覧になってください。   

竹田の油揚げ 谷口屋公式ホームページ

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