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2022.12.21

雲海はどうして発生するの?自然現象解明シリーズ11

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スタッフ名:岩崎春平

皆さんこんにちはいつも休暇村帝釈峡のスタッフブログをご覧いただきまして誠にありがとうございます。今回は自然現象解明シリーズ第11弾ということで雲海の不思議について紹介させて頂きます。

 

雲海

画像1
皆さんは雲海を見たことがありますか?
雲海とは高い場所にいる際に眼下に見下ろすことができる”雲”や”濃霧”のことで、雲が海の様に広がっていることから雲海と言われています。

では、雲と霧の違いは何なのでしょうか?
雲と霧の違い
一般的に雲と霧の違いは、「地面に接しているか接していないか」によって区別されます。
地面に接していないのが”雲”、地面に接しているものを”霧”と言います。
では、山にかかっていた場合は雲または霧のどちらなのでしょうか。
それは、見ている人がいる場所によって区別されます。
もしあなたが平地から山にかかっているものを見た場合これは”雲”になります。
もしあなたが登山をしていて山にかかっているものの中にいる場合これは”霧”になります。
よって、地面に接している(山肌に接している)場合は自らがいる場所によって呼び方が異なるということです。
山形県・秋田県にまたがる鳥海山
この場合僕が見ているのは雲。雲の中にいる人が見ているものは霧ということになります。
雲海の発生条件
雲と霧の違いが分かったところで本題に戻ります。
では、雲海はどのように発生しているのでしょうか。
 
福島県吾妻小富士からみた雲海
福島県飯豊山道中からみた雲海
⓵放射冷却で地表の温度が下がる
地表からは常に熱が宇宙空間へ放出されています。この現象は「地球放射」と呼びます。
日中は太陽の光により熱が発生し温められますが夜間は太陽が無くなるため地球を暖められなくなります。夜間曇っている場合は地球放射によって放出される熱が雲にぶつかることで、宇宙空間への放出を避けられますが、夜間晴れている場合は遮るものがないため地表の熱は宇宙空間に放出されてしまします。この夜間晴れていることで地表の温度が下がる現象を「放射冷却」と言います。

この「放射冷却現象」が生じることが雲海への第一ステップです。
②水蒸気を含んだ空気が冷える
第一ステップの放射冷却により地表付近の水蒸気を含んだ空気が冷えると、「逆転層」といわれる現象が発生します。逆転層とは、通常は高度が上がると空気中の温度が低下していくため、地表付近の空気が一番暖かくなりますが、それとは反対に放射冷却により地表付近の方が上空よりも空気が冷えた状態のことです。逆転層が生じると空気の循環が無くなり地表付近に一定の空気がとどまるようになります。

放射冷却により逆転層が生じることが第二ステップです。
③冷えた空気が留まる
第二ステップの逆転層により冷やされた空気が留まりやすい条件が整いましたが、もう一つ条件があります。それは無風であることです。風があると冷やされた空気が留まりにくく空気の循環が発生してしまいます。それにより雲が発生しても流れてしまう為、雲海が生じなくなります。

したがって、無風もしくは微風であることが第三ステップです。
④水蒸気が発生する
最後は冷やされた空気が飽和状態になり水蒸気が発生することが挙げられます。飽和状態とは空気がそれ以上水蒸気を含めなくなる限界のことで、これは気温により異なります。一般に気温が下がれば下がるほど含める水蒸気量は少なくなります。この飽和状態を超えると含めなくった水蒸気が空気中に放出され雲や霧が発生します。

上記の4つのステップをクリアすると雲または霧が発生します。
これを上空から見たものを雲海と言います。
岡山県下蒜山からみた雲海
秋の早朝。放射冷却により生じた雲海です。
愛媛県石鎚山から見た雲海
こちらも放射冷却によるものでしょうか,,,?
雲海の種類
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雲海にはいくつかの種類があります。
上述した放射冷却による雲海は最もポピュラーな雲海です。
そのほかの雲海についても紹介させていただきます。

写真:山形県大朝日岳からみた雲海
⑴川霧・湖霧により発生する雲海
川霧や湖霧は水温と気温の差によって生じる霧のことでこちらも上空からみると雲海にあたります。
温かい水面の上に冷たい空気があることにより発生する霧で水温と気温の温度差が激しいほど発生量は多くなります。
福島県只見川の川霧
福島県只見ダムの湖霧
⑵移流霧により発生する雲海
移流霧は暖かい湿った空気が流れ込み、流れ込んだ空気が冷やされることで発生する霧です。
温かい空気が海流によって寒い地点に流れ込むことによって生じる海霧が一般的ですが、北日本の太平洋側の山間でも夏に発生しやすくなっています。
 
広島県吾妻山から見た雲海
移流霧かどうかは定かではないが雲が流れ込んできている。
⑶滑昇霧により発生する雲海
滑昇霧は、温かく湿った空気が山の斜面を這い上がり高度が上がるにつれて冷やされることにより発生する霧です。基本的に山の斜面を這い上がる速度が速いため一瞬で呑まれてしまいます。雲海として見られるのはかなり稀です。
山形県月山でみた滑昇霧
一瞬で呑まれて霧になりました
⑷悪天候時または雨天時に発生する雲海
 悪天候時、特に雨天時には降雨による湿度の上昇に伴い低い高度に雲に発生する雲が雲海として見られる場合もあります。こちらも雲の動きが非常に速い為すぐに呑まれる可能性が高くなっています。
栃木県男体山からみた雲海
雨天により発生した雲海で雲の下では雨が降っています。
北海道樽前山からみた雲海
こちらは前日の雨が温められてできた雲海です。
いかがだったでしょうか。
珍しく思われる雲海ですが高いところに上ると意外とみられる可能性が高いです。
中国山地は盆地が多く雲が溜まりやすい地理的条件、寒暖差という気候的条件が非常に整っている地域でもあります。
高い山に登らずとも少し高い地点に行ってみると雲海が見られるかもしれません!?

休暇村帝釈峡からも条件が整えば、放射冷却による雲海or神龍湖からの湖霧による雲海が見られるかもしれません!ぜひ、雲海を見に休暇村帝釈峡へ訪れてはいかがでしょうか!

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