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2021.06.12

裏磐梯のクマ ~クマは何を食べているのか?

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スタッフ名:高梨

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 このところ、ようやくツキノワグマに関する情報が休暇村周辺でも聞かれるようになりました。目撃情報やふんの存在などです。例年より遅く、かつ少ないです。山や休暇村周辺以外に食べ物が豊富で出没しなかったためでしょうか?
 
 いずれにしろ、トレッキングなどで自然に親しむ人には気になることですが、日本社会で飛び交うクマの情報は誤解が多く、実際の姿とはかけ離れている場合が多いです。
 今回は、裏磐梯での実情をもとにそれらの話をします。
 
 クマが何を食べているのか、クマの食性を知るには「ふん」を調べるのが有効です。
 次は、昨年5月探勝路で見つけたクマのふんを持ち帰り、水で解いて調べたものです。
 
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 ふんは、レジ袋に突っ込んだ手で掴み、裏返しにすると大丈夫です。水に溶かしかき混ぜ水捨てを数回繰り返すと、固形物のみが残ります。
 残ったものは100%植物質で、アザミやハナウドなどの茎でした。これらは人間も山菜として食べるものです。柔らかくてジューシーで、かつ胃を膨満させやすい大型草本の若い茎を利用するようです。骨・毛など動物由来のものはありません。いつものことです。

 次は、ふんの近くにあったアザミの食べ跡です。
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 また次のふんは、7月上旬のもので、植物の茎が主体ですが、サクランボの種、ヤマグワの種も多くみられます。
 
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 このように、クマは植物食がメインです。
 
 ふんをもとに動物の食性を調べることを、「ウンコロジー」もしくは「ベン学にいそしむ」
ともいい(笑い)、野生動物を理解するうえでありがたいことです。
 
 ただ夏季は、利用できる植物が少なくなります。若芽が育って固く繊維質になり食べるに適さなくなり、秋の実りにはまだまだ早いためです。
 
 この時期、クマはハチやアリの巣なども食べ物としたりします。

 次の写真は、数年前五色パラダイスキャンプ場のバンガローの壁をツキノワグマが壊した時のものです。壁の内部にキイロスズメバチの巣ができていて、その幼虫を食べるためだったのです。

(被害を与えましたが、危害は及んでおりません;ただ力の強い動物であるのは事実です。)

     
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 このように、クマが積極的に人を襲い危害を加え食料獲得をすることはほとんどありません。自然の中で得られる食物をもとに、静かに平和的に暮らしているのです。
 
 特に休暇村周辺は、今も昔も火山噴火による岩だらけの大地のため、畑や田んぼや民家がなく、人の管理下の食べ物が皆無です。(唯一、休暇村キャンプ場は例外に入るのですが、なぜかゴミ庫や炊事場が荒らされたことはありません。)
 
 そのかわりに、ここら辺りはコクワ・ヤマブドウ・アケビなど野生のつる植物のもたらす食べ物が豊富で、それを目的に行動するため、ここのクマは、人里近くにすむ人間慣れしたクマでなく、深山にすむ慎重で用心深い行動をするクマとほぼ同じライフスタイルを実践しているようです。
 
 トレッキング等の際は、人間の存在を事前に知らせるクマ鈴は有効です。そしてクマも生活している豊かな自然の中であることを踏まえ、万一遭遇しても必要以上に怖がらず、隣人として認めるような気持で接すればほぼ問題はなく、自然や生き物の奥深さに触れることができましょう。
 
 何しろ彼らは、ことのほか厳しい裏磐梯の自然の中でも、衣食住すべてに全くお金をかけずに(!)自分の力で、人間とほぼ同じ体格を維持し生きているのです!
 
 最後に、やたらと多く眼にする「 クマ出没注意!」の看板ですが、万一事故が起きても関係者や行政の怠慢と指摘されないため、かつ何より予防のため、クマの数よりはるかに多い看板が立つようになったようです。
 
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