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2026.11.05

-福井の食文化を紐解く- 冬に、水ようかんという選択

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スタッフ名:杉森

冬に、水ようかんという選択
水ようかんと聞けば、多くの人は夏の涼菓を思い浮かべるだろう。だが福井では、雪の季節になると店先に並ぶ。こたつに入って水ようかんを食べるのは、この土地ではおなじみの冬の一コマです。
冷えた指先で木べらを持ち、静かに口へ運ぶ。今回は、福井の冬を象徴するこの甘味を紐解いてみたい。
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なぜ、冬なのか
理由は、意外なほど実直だ。一般的な水ようかんより水分が多く、糖度が低いため傷みやすい。だから寒い季節に作るようになったという。かつては、外の雪に埋めて保存していたそうだ。
素材は黒砂糖と小豆、寒天というシンプルなもので、日持ちがしない。そのため販売されるのは、11月から3月の寒い時期に限られる。冷蔵庫のない時代の暮らしの知恵が、そのまま味になっているのだろう。
丁稚が背負った土産
福井では、水ようかんを「丁稚ようかん」と呼ぶこともある。黒糖と丁稚をかけた名だという。丁稚は階級こそ低いが働き者で、やがて出世していく。その縁起のよさにあやかったようだ。
江戸時代末期から続く菓子で、丁稚が正月明けに奉公先から里帰りする際、土産として持ち帰ったことで広まったと言われている。諸説あるが、一年の苦労を胸に故郷へ帰る若者の荷に、この甘みが収まっていたと思うと、味わいも少し変わってくる。
 
こたつと重箱の記憶
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昭和30年代には、母が作る家庭のおやつであり、正月の重箱に入るおせちの一品でもあったそうだ。派手さはない。だが、家族が同じこたつに足を入れ、一枚の水ようかんを分け合う。そんな冬の風景が、福井の暮らしには確かにあった。

木べらですくう、一口
福井県内には、冬限定の水ようかんを扱う店が100軒以上あるという。店ごとに柔らかさも甘さも異なるはずで、食べ比べるのもまた、冬の楽しみになるだろう。水ようかんは、決して華やかな菓子ではない。しかし、雪の寒さの中でこそ、素朴な甘みが沁みる。
福井の冬に訪れる機会があれば、一度こたつで味わってみてほしい。

「村中甘泉堂」 福井県福井市中央1丁目21−24 休暇村越前三国より車で約60分
       電話番号  0120-224-354 定休日 火・水曜日
 

村中甘泉堂公式HP

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