ないものは無い。なんでもある信州
信州に秋がやってくると、楽しみなのがフルーツです。
ぶどう、りんご、梨、プルーン、イチジク、栗。
少しずつ涼しくなる風に秋の気配を感じるころ、スーパーの売り場にも色とりどりのフルーツが並びはじめます。
信州で車を走らせていると、あちらこちらで目に入る「農産物直売所」の看板。そこには、その土地で採れた野菜やフルーツがずらりと並びます。しかも、同じりんごでも品種がいくつもあったり、聞いたことのない名前のぶどうがあったり。「これ、どうやって食べるんだろう?」というフルーツにもたまに出会ったり(笑)見ているだけでも、なかなか楽しいのです。
そこで今回は、信州の直売所をいくつか巡って、気になった秋のフルーツを買い集めてみることにしました。ルールはひとつ。その直売所で「おいしそう!」と思ったものを買うこと。有名な品種だけに絞らず、初めて見るものも、ちょっと不格好なものも、気になったらカゴへ。そうして集まったフルーツを並べて、食べ比べてみました。甘いもの。酸っぱいもの。香りの強いもの。見た目は似ているのに、食べてみると驚くほど味が違うもの。
「私はこれが一番好き」「いや、こっちでしょう」「この品種、初めて食べた!」そんなことを言いながらワイワイ食べていると、いつものフルーツも少し違って見えてきます。
観光名所を巡るのもいいけれど、直売所を目指して信州を走るのも、なかなかいい秋の旅。今回は、そんな“おいしいものを探すドライブ”に出かけます。
まずはりんごの食べ比べレポ
信州の秋といえば、やっぱりりんごです。直売所をのぞいてみると、赤や黄色、大きさもさまざまなりんごがずらり。同じりんごでも、品種によって見た目も味も驚くほど違います。
今回は、長野県生まれの「りんご三兄弟」、秋映・シナノスイート・シナノゴールドを食べ比べてみました。
まずは「秋映」。ひときわ目を引くのが、黒っぽく見えるほど濃い赤色の果皮です。ちょっと白雪姫に出てくる毒りんご感があります。果肉はしっかりとしていて、甘みの中にほどよい酸味も。コクのある、濃厚な味わいが楽しめます。
続いて「シナノスイート」。こちらは名前の通り甘みが強く、果汁もたっぷり。酸味は控えめで、ひと口かじるとみずみずしい甘さが口いっぱいに広がります。
最後は、黄色い果皮が目印の「シナノゴールド」。シャキッとした歯ごたえがあり、甘みと酸味のバランスがよく、後味は爽やか。赤い2つと並べると、見た目の違いも鮮やかです。
こうして3つを並べて食べてみると、「同じりんごなのに、こんなに違うんだ」とちょっと驚きます。濃厚な秋映、甘いシナノスイート、爽やかなシナノゴールド。個人的には秋映が一番好きな味わいでした。直売所で3つを見つけたら、ぜひ「りんご三兄弟」を揃えて、食べ比べてみてください。尚、りんごのシーズンが過ぎてからも上田駅近くの「信州アップルパイ研究所Q」さんでは、アップルパイの食べ比べや、日替わりで搾りたてのりんごジュースをいただくことができますので、こちらもぜひお立ち寄りください。
続いてぶどうの食べ比べレポ
信州の秋といえば、りんご。長野県生まれの「りんご三兄弟」がいることは先ほどご紹介しましたが、実はぶどうにも“三姉妹”がいるのをご存じでしょうか。
りんごには三兄弟、ぶどうには三姉妹。どちらも秋を代表するフルーツで、こんなふうに食べ比べを楽しめる品種が揃っているのも、果物王国・信州ならではです。
ということで今回は、「ぶどう三姉妹」のナガノパープル・シャインマスカット・クイーンルージュを食べ比べてみました。(写真右側)
まずは、黒紫色の「ナガノパープル」。大粒で、皮ごと食べられるのが特徴です。口に入れると果汁がたっぷりで、甘みも濃厚。ぶどうらしいコクのある味わいで、ひと粒でもしっかりとした満足感があります。
続いて、鮮やかな黄緑色の「シャインマスカット」。皮はパリッと歯切れがよく、噛むと爽やかな香りと上品な甘さが広がります。すっきりとした後味で、ついつい次のひと粒へ手が伸びて止まらなくなります。
最後は、赤い果皮が目を引く「クイーンルージュ」。こちらも皮ごと食べられ、ひと口食べて印象に残るのが、その甘さ。華やかな香りもあり、黒、緑とはまた違った個性を楽しめます。
こうして三姉妹を並べてみると、黒・緑・赤と見た目にも鮮やか。そして食べてみれば、甘さや香り、食感もそれぞれ違います。ちなみに個人的にナガノパープルが一番好みの味わいでした。毎年、この時期になると毎日のように食べてしまいます。1パック500円ほどで購入できるのも信州ならではでしょう。
りんご三兄弟を食べ比べたあとは、ぶどう三姉妹も。直売所を巡りながら、それぞれの兄弟・姉妹を探してみる。そんな楽しみ方ができるのも、信州の秋ならではかもしれません。
将軍家にも献上される小布施栗
りんご、ぶどうと秋のフルーツを楽しんだら、もうひとつ忘れてはいけないものがあります。栗です。余談ですが、栗もフルーツに分類されることを最近知りました。
信州で栗といえば、やはり小布施。小布施栗の歴史は古く、江戸時代には将軍家へ献上されていたともいわれるほど、この土地を代表する味覚として大切にされてきました。
秋に小布施を歩いてみると、町のあちらこちらに栗の文字。栗菓子のお店には栗ようかんや栗鹿ノ子、栗を使った生菓子が並び、カフェではモンブランや栗のスイーツも楽しめます。直売所をのぞけば、大粒の生栗に出会えることもあります。
栗そのものは、りんごやぶどうのように買ってすぐにかじるわけにはいきませんが、虫留めなどひと手間かかってはしまいますが、茹でたり蒸したりした栗を割って、ほくほくとした実をスプーンですくって食べるのも秋ならでは。やさしい甘さを味わっていると、派手さはないけれど「秋が来たなあ」と感じます。
直売所や町を巡っていると、その土地によって並んでいるものも、秋の味わい方も少しずつ変わっていきます。そんな違いを楽しみながら、おいしいものを目当てに信州を走るのも、この季節ならではの旅です。直売所で栗を購入するだけではなく、小布施では実際に栗拾いも楽しめます。拾った栗をお土産に持ち帰り、自宅で調理しながら信州旅の余韻に浸ってみるのもいいかもしれません。
温暖な気候で育つフルーツにも出会える!
りんご、ぶどう、栗。信州の秋らしい味覚を探して直売所を巡っていると、ちょっと意外なものにも出会いました。
イチジクというと、暖かな地域で育つ果物というイメージがあったので、信州の直売所に並んでいるのを見つけたときは少し驚きました。調べてみると、長野県内でも栽培されていて、夏の終わりから秋にかけて収穫されたものが直売所などに並びます。
そもそもイチジクは、とてもデリケートなフルーツです。完熟するとやわらかくなり、傷みやすいため、長距離の輸送にはあまり向いていません。だからこそ、地元で収穫されたものを直売所で見つけたら、ちょっと試してみたくなります。
手に取ってみると、ぽってりとした独特の形。半分に割れば、中には赤いつぶつぶとした果肉がぎっしり詰まっています。
食べてみると、やわらかく、プチプチとした種の食感。甘さは思っていたよりもやさしく、りんごのシャキシャキ感や、ぶどうの弾けるような果汁とはまったく違います。
そのまま食べるのはもちろん、ヨーグルトに添えたり、生ハムやチーズと合わせたり、少し熟しすぎたものならジャムにしたり。甘いものにも料理にも使えるのも、イチジクの面白いところです。
そして何より、信州でイチジクが採れるんだ!という発見がありました。
りんごやぶどうのような有名なフルーツを目当てに出かけて、その隣に並んでいた知らない品種や、思いがけない農産物も買ってみる。
スーパーではいつも同じものを選びがちですが、直売所では、その日に並んでいるものがきっかけで食べるものが決まることがあります。
予定になかったイチジクをひとパック。そんな偶然の出会いも含めて、信州の直売所を巡る楽しさなのだと思います。
まとめ
りんご三兄弟に、ぶどう三姉妹。小布施の栗に、思いがけず出会ったイチジク。
直売所を巡ってみると、信州の秋には想像していた以上にたくさんの「おいしい」がありました。同じりんごでも、甘さや酸味、歯ごたえが違う。同じぶどうでも、色も香りも味わいも違う。そして、その土地だからこそ出会える旬のフルーツがあります。何を買うか決めずに直売所へ立ち寄って、その日並んでいるものから「これ、おいしそう」と選んでみる。知らない品種を見つけたら、ちょっと冒険してみる。そんな気ままな楽しみ方ができるのも、信州ならではです。
「ないものは無い。なんでもある信州」。今回巡ってみて、改めてそんなことを感じました。紅葉を見に行く秋もいいけれど、今年は少し寄り道をして、直売所へ。お気に入りのフルーツを探しながら走る信州の秋も、なかなか楽しいものです。
ファーマーズうえだ店
うえだ食彩館ゆとりの里