ツアー出発前
【7月某日】
肥薩おれんじ鉄道の鉄道員の方からお電話が鳴ります。
(鉄道員)「すみません、先日の大雨の影響で線路が土砂に埋まっていて…おれんじ鉄道の復旧がいつになるかわかりません…。」
7月4日の豪雨で被災した肥薩おれんじ鉄道。当時は沿線上の約60か所の線路、電気系統が被災し、なかでも土砂崩れにより熊本県八代~佐敷間が通行不可、熊本~鹿児島間の往来ができないというような状況でした。
【8月某日】
(鉄道員)「鹿児島県出水(いずみ)駅~川内(せんだい)間でおれんじ食堂を運行することができそうです。ご提供するお料理の内容や乗車区間等が変更にはなりますが、いかがでしょうか。」
観光列車おれんじ食堂はこの沿線の始点の八代駅から終点の川内駅を沿線上の景色とお食事を楽しみながら4時間かけてゆっくりのんびり走る、まさにゆっ旅ツアーに最適の列車です。しかし7月の豪雨被害により、一部の線路は土砂に埋まったまま。
大阪センター主催のゆっ旅ツアーでは、9月下旬におれんじ鉄道に乗車する「九州2つのレストラン列車ツアー」が催行予定でした。ご予約頂いたお客様にこの状況をご連絡する必要があります。
(お客様)「うん、それでもいいよ行こうよ。ぜひ乗りたいんだから。」
そういった心強い言葉に後押しされツアー催行が決定しました。
ここからはその復興途中のちょっと特別なおれんじ食堂に乗車した様子をレポートいたします。
肥薩おれんじ鉄道の被災状況
ツアー当日
【9月某日】
本来なら始発地点である熊本県八代市から乗車しますが、今回おれんじ食堂に対面したのは出水駅。鹿児島県からの乗車です。出水市は毎年秋ごろになるとシベリアからツルが飛来することで有名な場所です。
今回は訪問が少し早かったので実際には見ることはかないませんでしたが、ツルたちの「歓迎」の文字がその雰囲気を感じさせます。また、ここはおれんじ鉄道が舞台となった有村架純主演の映画「かぞくいろ」の撮影地でもあります。この後、重要なシーンが撮影されたところも列車は走って行きます。
おれんじ鉄道×かぞくいろ ロケ地マップ
おれんじ食堂の車内へ
肥薩おれんじ鉄道という名前ですが車体は紺碧のブルー。沿岸部を走る様子は写真映えしますね。出水駅でおれんじ鉄道が食堂車へと変身する間、少しの間お客様と鉄道談義。
「なんだかJR四国の時代の夜明けみたいだわ。(あ、確かに色が似ている!)」
「おれんじ鉄道に乗るのはこれで3回目なの(ベテランですね)」
「今度はJR四国3つのものがたり列車に乗りたいわ(休暇村のツアーでその夢叶いますよ。)」
お客様の中には乗り鉄の方がちらほら。なんだかこういう時間もとっても楽しいな。私自身は乗り鉄・撮り鉄には遠く及びませんが、食べ鉄だと自負しています。自分で作った造語ですが、「食事を楽しみに列車に乗る」のが食べ鉄。新幹線車内で、または特急の車内で沿線ゆかりのお弁当やお菓子を買い込んで乗り込むご経験は皆さまにもあるはずです。
レストラン列車は食べ鉄にとっては最高の時間ですね。ただの食いしん坊ともいいますが、このレストラン列車のツアーでは、私と同じようなタイプの方も多くご参加いただいているのでは?
みどころ①
さて準備ができたようなので、いざ乗車。
席についてまず目に入ってきたのが四角い玉手箱のようなもの。開けてみるとそれはまさしく食の宝石箱。今回は出水市に店を構える仕出し割烹「誠」提供の復旧する間だけの特別なお食事です。割烹のご主人が作る料理なだけあって、お酒のアテにちょうどいい逸品が並び、不知火海や東シナ海の海岸線を車窓から眺めながら地酒を味わうのにぴったりです。
乗車されている皆様もほろ酔い気味に。
JR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」のデザインで有名な水戸岡鋭治氏、実はおれんじ鉄道車内や沿線の水俣駅や阿久根駅のデザインも監修しています。
肥薩おれんじ鉄道は元々JR九州の鹿児島本線の一部でしたが、九州新幹線開業に伴い経営が移されました。そういった背景もあり、JR九州の観光列車の担当者から水戸岡氏を紹介してもらい、このおれんじ食堂も手掛けることになったそう。ご乗車の際は車内のデザインや沿線の駅もしっかりご覧いただきお楽しみください。
みどころ②
薩摩高城駅では客室乗務員の方が浜辺まで皆様をご案内。
停車してまず驚くのがその角度。「おっとっと」とついつい口から出てしまうほど。9月の訪問時はちょうど曼殊沙華が満開で花道ができていました。この散策路もおれんじ鉄道の職員総出で整備しているそうです。浜辺から望む東シナ海はその時々の天候によってまったく異なる様子を見せてくれます。この先の景色は乗車されてからの楽しみにとっておきましょう。
列車旅もいよいよ終点。薩摩高城駅を離れたら川内駅へと到着です。おれんじ食堂を下車して進むとJR九州のホームへ繋がっています。鉄道好きにはたまらないポイントだそう。(お客様談)
「再開したらまた来ようね」と口々に言いながら、全線運転再開するまでの期間限定の特別な列車旅を楽しんだツアーご一行様なのでした。
肥薩おれんじ鉄道全線再開
【その後のおまけ】
実は肥薩おれんじ鉄道が全線運転再開した初日にもツアーの添乗で訪問する機会があり、その瞬間に立ち会うことがきました。おれんじ食堂にとっては、再開して初めて乗車する「お客様第一号」は休暇村のツアーご一行様だったようです。列車後方には記念の看板を背負いお祝いムードで走りました。
沿線上では多くの地域の方が一目見ようと集まってくださり手を振るのに大忙し。車内では肥薩おれんじ鉄道の社長自らマイクを握り、ツアーのお客様へアナウンスする場面も。水俣駅や薩摩高城駅での地元の方によるマルシェも再開して久しぶりの再会を喜びました。
休暇村のゆっ旅ツアー
肥薩おれんじ鉄道に乗車するツアーは1月にも催行予定です。すでにご予約はキャンセル待ちを多くいただいていますが、機会があれば是非ご一緒しませんか。
倶楽部Q83号の別冊旅Qでは普段はなかなか行きにくい休暇村や観光地、予約が取りづらい観光列車のツアーをご案内しております。1月までのツアーはGoToトラベル支援対象ツアーです。詳細はホームページまたは、お手元に届きました倶楽部Qをご覧ください。
休暇村のゆっ旅ツアー
あらかじめバスや電車など旅の移動手段が組み込まれた休暇村のお得なツアー。
その土地ならではの山海の幸や名物料理を味わい、休暇村周辺の見所へ案内します。
ゆっ旅ツアー
倶楽部Q82号別冊 「バスツアー旅Q」
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