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休暇村越前三国のスタッフブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。
今回は、これまで地元の奥深い蕎麦文化について定期的にお伝えしてきました。しかし、同じテーマが続くと少々新鮮味に欠け、マンネリを感じてしまうのも事実。そこで今回は趣向を変え、福井が誇る豊かな食文化の引き出しから、もう一つの主役を引っ張り出してみたいと思います。
それが、県民の日常に深く根ざし、我々の胃袋を問答無用で満たしてくれる「ソースカツ丼」です。
■ 「卵とじ」という常識を置き去りにする硬派な佇まい
全国的に「カツ丼」といえば、出汁の利いた甘辛いタレでカツを煮込み、卵でふんわりととじたものが圧倒的多数派でしょう。他県から福井に足を運んだ方が、食堂で「カツ丼」を注文し、目の前に現れた漆黒の丼を見て一瞬フリーズする――というのは、もはや福井の定番の洗礼です。
福井で「カツ丼」と頼めば、出てくるのは100%ソースカツ丼。
卵の優しさに甘えることなく、ウスターソースの鮮烈な酸味と香辛料の香りをダイレクトに纏った佇まいは、実に潔く、硬派です。これこそが、福井が誇るカツ丼の真の姿なのです。
■ 始まりは東京。福井で独自の進化を遂げた歴史
このソースカツ丼、実は大正時代に東京で産声を上げました。
1913年(大正2年)、福井県出身の料理人・高畠増太郎氏が、ドイツでの料理修業を経て、東京の料理発表会で披露したのが始まりとされています。その後、関東大震災をきっかけに故郷である福井に味が持ち帰られ、店が構えられたことで、この文化が全域へと広がっていきました。
つまり、福井のソースカツ丼は「他県で卵とじが流行ったから派生した」のではなく、日本のカツ丼の歴史の極めて初期から存在する、もう一つの正統血統。福井の地で独自の進化を遂げたからこそ、今もなお固有の文化として息づいているのです。
■ 繊細にして大胆。他県のソースカツ丼との決定的な違い
ソースカツ丼なら、他の地域にもある」と思われるかもしれません。しかし、福井のそれは一線を画します。他県の多くは、厚切りのカツにシャキシャキのキャベツを敷くスタイルが一般的ですが、福井は極めてシンプルです。
・キャベツは一切敷かない。 丼の中にあるのは、熱々の白米、そして特製ソースに潜らせたカツ、 ただそれだけです。
・カツの薄さと絶妙な衣。 肉はあえて薄めに叩き伸ばされ、目の細かいパン粉を纏います。これが ウスターソースベースの秘伝のタレをたっぷりと吸い込み、米との完璧な一体感を生み出すのです。
大ぶりなカツを豪快に齧り、ソースの染みた白米をかき込む。この、無駄を削ぎ落とした「引き算の美学」こそが、福井のソースカツ丼が誇る唯一無二の魅力と言えるでしょう。
■ちなみにこんなのもあります「醬油カツ丼」
2010年に福井県大野市で誕生したご当地グルメです。ご飯の上にたっぷりのキャベツ、その上にトンカツを乗せ、大根おろしや大葉、ネギなどを添え、温かい特製醤油ダレをかけていただきます。
■ 福井の食を完成させる、おろし蕎麦との不動の定番
そして、このソースカツ丼を語る上で外せないのが、福井のソウルフードである「おろし蕎麦」との関係性です。福井の多くの蕎麦処や食堂では、この2つがセットになったメニューが「定番中の定番」としてお馴染みとなっています。
大根おろしのピリッとした辛みと出汁が利いた、さっぱりとしたおろし蕎麦。そして、ウスターソースの酸味とジューシーな肉の旨味がガツンとくるソースカツ丼。この、静と動、さっぱりと濃厚の絶妙なコントラストは、一度交互に味わうと箸が止まらなくなる計算し尽くされたペアリングです。シンプルだからこそ、誤魔化しが利かない。歴史に裏打ちされた福井のソースカツ丼と、おろし蕎麦のコンビネーションには、そんな洗練された力強さが詰まっています。
ソースカツ丼はヨーロッパ軒が有名ですが、各店舗によって好みが分かれますので、私の独断と偏見で「豊島分店」を案内したいと思います。
ヨーロッパ軒「豊島分店」 福井市豊島2丁目3-3 休暇村越前三国より車で約60分
電話番号 0776-21-4608
営業時間 11:00~15:00 17:00~20:00
土日 11:00~20:00
定休日 火曜日
総本店ウェブサイト
豊島分店ウェブサイト