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2023.02.03

総湯と古総湯の違いは?加賀温泉郷の共同浴場の楽しみ方について

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スタッフ名:小田桐

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冬の北陸2泊3日モデルコース
先日、学生時代の友人と一緒に石川県に行ってきました。とっても寒かったですが、冬こそ美しい場所だなぁと同時に感じましたので、立ち寄ってよかった場所をご紹介していきたいと思います。今回の旅のテーマは、「北陸グルメ」「加賀温泉郷での湯めぐり」「冬の北陸らしい風景を見てくること」「文化体験」でした。そして旅のルールは、「公共交通機関だけを使って移動する」こと。レンタカーは使わない、電車や路線バス、シェアサイクルや徒歩はOK、という環境にも配慮しつつ旅を満喫します。
18:30 金沢駅に到着
□市内循環型のバスでホテルを目指します。金沢市内はバスの本数が多く、1本逃しても3~5分ですぐに次の便が来てくれるので時間を気にせず行動できました。たまたまかもしれませんが、私たちが利用した路線バスは急発進・急ブレーキが多かったのと、駅周辺を走る車の速度が凄まじかったり、一方通行の狭い道でも減速しなかったり、運転の仕方が少々荒い印象を受け、歩道を歩いていても常に緊張感がありました。みなさんがバスご乗車の際や散策される際にはどうかそんな経験をなされませんように...!ちなみによかった点もあります。歩道には400mほどのアーケードが設置されているので、雨や雪の日でも濡れずに散策することができました。

18:45 ホテルへ到着
□金沢市内には休暇村がないので今回は「OMO金沢片町」という星野リゾートが運営する都市観光型ホテルにお世話になりました。片町というエリアに立地していて金沢駅からもバスで10分程で好アクセスです。

19:00 市内散策と夕食
□片町は繁華街のような雰囲気でスクランブル交差点があってネオンギラギラ、飲み屋さんが所狭しと並んでいました。東京で言うところの新宿や歌舞伎町に似た印象を受けました。「金沢おでん」「金沢うどん」「お寿司」「小料理屋」が多く、気軽にサク飲みできるお店から、店内の様子が見えない&メニューが出ていないお店まで様々です。ブランドショップもあって銀座をギュッとコンパクトにしたような雰囲気もありました。

21:00 ホテルへ帰着
□翌朝に備えて早めに寝ます。
金沢から加賀温泉郷へ♨♨♨
6:30 起床、ホテル出発
□天気がよかったので、ホテルから金沢駅まではバスではなく散歩しました。昨夜は賑わっていた街も明け方には静寂としていてとてもよかったです。

7:00 近江町市場(おみちょいちば)
□片町から金沢駅へ向かう途中に近江町市場があります。”金沢市民の台所”や”金沢市民の台所を支えて300年”と謳われる観光スポットのひとつで、加賀野菜やフルーツを販売する青果店、日本海の獲れたて魚介類(タグ付きガニや牡蠣など)を販売する鮮魚店、能登牛や能登豚を取り扱う精肉店、スイーツやクラフトビールが楽しめる飲食店などが約170店舗も軒を連ねています。お昼すぎには混雑するので、まだ観光客がいない(でも活気がある)朝のうちに市場内を散策しました。市場と言っても、朝はそれほど早くないので朝ごはんを食べられるお店も朝7:30以降で数店舗でした。

(近江町市場から金沢駅まで徒歩15分)

8:15 金沢駅へ到着後、特急サンダーバード乗車
□この日は、加賀温泉郷で友人と終日湯めぐりすることが最大の目標だったので、朝ごはんは駅中のカフェで簡単に済ませて、さっそく加賀温泉行の特急サンダーバード(大阪行き)に乗り込みました。

8:42 加賀温泉駅へ到着!
 
いざ、加賀温泉郷の湯めぐりスタート!
加賀温泉郷とは、3つの温泉地(山中温泉・山代温泉・片山津温泉)の総称です。はたして、路線バスと徒歩だけでいくつ湯めぐりできるのか...!以下でご紹介していきます。

9:05 加賀温泉駅よりバス乗車

9:39 山中温泉総湯 菊の湯(1か所目)
□松尾芭蕉が奥の細道の途中で訪れて気に入った場所のひとつで、その際に「山中や菊は手折らじ湯の匂い」と詠んでいます。「温泉に浸かるだけで寿命が延びたように感じてしまう。湧き出るお湯のにおいは、寿命が延びるとされる菊の香りも及ばないほどだ。だからもう、菊の花を折って香りを嗅ぐ必要もないなぁ。」という現代語訳になります(概ね合っているはず...)。

泉質はさらっとしたお湯で、観光客よりも地元の方々が回数券を買って日常使いしているような雰囲気でした。みなさん顔なじみなのか、番頭さんに「あ、どうも~!おはようございます~!」と声をかけていたのもまたよかったです。

ちなみに名前に付いている総湯とは、共同浴場のことを表わす言葉で、北陸地方の言葉です。広くて新しい、熱交換システムを導入した源泉100%の温泉(加水なし)なのでやや熱めです。私もここに来るまで知りませんでした。

温泉あがりに近くを散策しました。菊の湯から徒歩5分ほどのところに、勅使河原宏氏がデザインしたあやとりはしという橋がありました。名前のとおり、横から見るとあやとりのようにも見えました。
10:30 シルクロ体験工房へ
□こちらは九谷焼の体験工房です。九谷焼への絵付け体験や、ゆかたべさん人形の絵付け体験など、石川ならではの体験が楽しめます。

ゆかたべさんは、漢字で浴衣娘と書くのですが、江戸時代にいたご当地アイドルのような存在だったそうです。旅館から総湯まで道案内して、浴衣を預かるのが仕事でした。同時に何人もの浴衣を預かるのですが、それを一枚一枚まちがいなくお返しするのがゆかたべさんの技だったそうです。
11:30 絵付け体験終了
□普段は使わない神経と筋肉と集中力を使ったのかジョギング5km終わった後くらいの達成感と疲労感でいっぱいでした。最後の1枚はやけになって塗ったわけではなく、ゆかたべさんの裏側は獅子の顔を書くため、そのような仕上がりとなっています。

11:53 山中温泉バスターミナルよりバス乗車

12:10 山代温泉へ到着
□森に包まれた山中温泉と比較すると、山代温泉は喫茶店やお土産屋さんが温泉街にぎゅっと集まっているので、そぞろ歩きにぴったりな場所だなぁと感じました。

(山代温泉のバス停から徒歩5分)

12:15 山代温泉 古総湯(2か所目)
□1軒目の総湯との違いですが、古総湯は明治時代の総湯を復元した共同浴場で、湯あみを楽しむ目的で造られたためカランが設置されていないことが特徴として挙げられます。浴室のタイルや壁には九谷焼、窓にはステンドグラスが施されています。入浴前に番頭さんが湯もみをして温泉の温度をさげてくれました。それでも体感で42度以上はありそうな温度でした。たまたま貸切りだったので、友人とふたりで浸かってきましたが、建物の中に入るとタイムスリップした感覚になるほどで近所にあったら絶対に通うのになと思いました。2階の休憩スペースも素敵な雰囲気でした。

(次の温泉まで徒歩10分)
13:00 ゆのくに天祥(3か所目)
□こちらはホテルの中に大浴場が3か所、2種類の温泉を引いています。
今回は「滝見の湯屋」と「悠幻の湯殿」に入ってきました。檜風呂、石風呂、壺湯、寝湯など種類が豊富で温泉のテーマパークのような印象でした。お湯加減も、熱めやぬるめなど様々あったところもよかったです。パウダールームも広々して清潔感がありました。

□ゆっくりランチよりも温泉めぐりに注力したかったので(とはいえ空腹での入浴はよろしくないので)温泉街で草餅しること加賀棒茶セットをオーダーしました。とてもおいしかったです。
15:00 森の栖リゾート&スパ(4か所目)
□この日、最後の日帰り入浴となりました。予定では山中温泉→山代温泉→片山津温泉の順番でコンプリートするつもりでしたが、これ以上浸かるとふやけて元の形に戻れなさそうだったのでやめておきました。締めくくりとなるこちらは、ジャグジー付き寝湯(露天風呂)がとてもよかったです。カランのイスが高めで使いやすかったのも気に入りました。パウダールームにはひとりずつ間仕切りがあり広々と清潔感がありました。こちらは日帰りではなくいつか宿泊にも来てみたいです。

(森の栖リゾート&スパから山代温泉のバス停まで徒歩10分)
16:04 山代温泉よりバス乗車

16:30 加賀温泉駅へ到着後、電車で金沢へ

17:30 金沢駅へ帰着!

17:45 クロスゲート金沢で夕食
□2020年7月に金沢駅西口にできた複合施設で、北陸グルメを堪能できるレストランやカフェ、石川県や北陸エリアのお土産を取り扱っているお店が約30店舗集まっています。今回はせっかく石川にきたので、北陸の旬を扱っているお寿司屋さんへ行ってきました。のどぐろ、白海老、ずわいがに、加賀野菜の源助だいこんを使ったお寿司など、どのネタもとてもおいしかったです...
丸いお皿に乗った写真は、中トロみたいですが氷見の寒ブリです。中トロよりもあっさりしていて感動的なおいしさでした。
21:00 ホテルへ帰着
最終日、金沢市内観光DAY
8:00 起床後、朝のお散歩へ

9:00 金沢21世紀美術館
□美術館には有料エリアと無料エリアがあります。無料エリアだけの利用もできるので朝は美術館で過ごしました。屋内と屋外のどちらも利用できるので、無料エリアだけでも鑑賞に1時間~1時間半はお時間を取っていただくといいかと思います。

 
11:00 香林坊
□石川県を代表する有名な「あんころ餅」があると聞きつけて、香林坊へ向かいました。1737年からあんころ餅を作っている老舗和菓子店で、本店(白山市)でもすぐに売り切れてしまうそうなのですが、金沢市内では3か所で購入できます。
「金沢駅構内の売店」「金沢エムザ」「大和香林坊」です。今回は美術館からも徒歩でいける大和香林坊へ向かいました。1日30個ほど納品されますが、午前中で完売してしまうそうです。気になる方はお店のオープンと共にぜひ行ってみてください。竹皮に包まれたあんころ餅は柔らかくてほんのり竹皮の香りを纏っていました。
11:30 近江町市場
□ランチを求めて近江町市場を再訪しました。早朝と違ってかなり混雑していましたが、飲食店がたくさん軒を連ねているので、お客さんが分散されて、お昼時にも関わらず待ち時間ゼロでごはんを食べることができました。
13:00 文化財指定庭園 特別名勝 兼六園
□日本三名園のひとつに数えられる兼六園ですが、数年前に母とふたりで夏に来たことがありました。今回は冬にしか見られない雪吊りがどうしても見たくて冬に来ました。写真で見ていたとおりの美しさでしたが、ここに来るまでに金沢駅や片町の歩道や美術館など至る所で雪吊りが見られたので、兼六園に来る頃には正直お腹いっぱいで感動が半減でした(笑)まさかこんなに雪吊りを見られるとは知りませんでした。あと、雪吊りの目的は樹木を雪から保護するため、という説明文を読みましたが、隙間からどんどん雪が入っていて、本当に守られているのかという点が気になりました。

15:00 重要伝統的建造物群保存地区 ひがし茶屋街
□石畳の細い路地に美しい出格子が特徴的な茶屋街は、ひがし茶屋街、にし茶屋街、主計町茶屋街の3か所あります。今回はひがし茶屋街を散策しました。今でも一見さんお断りのお店が残っているという伝統と格式高い茶屋街だそうですが、カフェや雑貨屋さんが多く建ち並び、風情ある街並みが印象的でしたフルーツが丸ごと入った大福屋さんがとても人気のようです。少し並びましたが、とてもおいしかったです。


(ひがし茶屋街から金沢駅までバスで15分)

16:30 金沢駅から新幹線へ乗車

19:00 東京へ帰着!
2泊3日の旅の総括
旅の目的はかなり達成できたように感じます。
北陸グルメ(金沢おでん、お寿司、海鮮丼、あんころ餅)、加賀温泉郷での湯めぐり、冬の北陸らしい風景(雪吊り、山盛りのタグ付きがに)、文化体験(絵付け体験、アート鑑賞)、2泊3日でも冬の北陸らしさを体験することができました。これから金沢・加賀温泉郷へお出かけする際にはぜひ旅の参考にしていただけますと嬉しいです。個人的には、お寿司のために金沢に来たいと思うほど、源助大根のお寿司が衝撃的なおいしさでした。また機会があれば再訪したいです。石川県、とってもいいところでした!!!

追記:食べすぎと思われそうなので、載せるかどうか迷ったのですが、兼六園の近くにある兼六園茶屋 見城亭というカフェの抹茶パフェがとてもおいしかったのでやっぱり載せます。兼六園のビロード苔をイメージしたパフェで、使用している抹茶は、金沢市内で160年以上の歴史を持つ老舗野田屋茶店のものです。セットの加賀棒茶も冷えた身体にありがたかったです。建物は隈研吾氏が設計したそうで、席から見上げた時の天井や梁がうつくしかったです。
最寄りは休暇村能登千里浜(金沢から車で45分)です。

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