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2020.08.14

総距離約1,000km!みちのく潮風トレイル 海のアルプス編

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スタッフ名:瀬川

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自然がもたらす豊かさと厳しさ。その両面を歩いて感じる。

みちのく潮風トレイルとは、2019年6月に全線開通したロングトレイルで、青森県八戸市蕪島から福島県相馬市松川浦の太平洋沿岸をつなぎます。総距離は約1,000kmと日本でも有数の長さを誇ります。
トレイルルート上は、目の前に海が広がるオーシャンフロントの道がほとんど。海を高い場所から眺めるだけでなく、海辺の砂浜を歩ける道もあるので、一日中、海の存在をちかくに感じて、潮風が耳に響き続けるようなトレイルハイクができます。
また、日本の一般的なロングトレイルとは違い、ときにはルート上に地元の方の生活圏があるのも特徴です。地元の方とのちょっとした挨拶や交流も旅の楽しみの1つかもしれませんね。

今回は長大なみちのく潮風トレイルのほんの少しですが、約23kmの行程を1泊2日のモデルコースとともにご紹介させていただきます。

1日目のトレイルエリアマップ

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旅のスタートは2020年5月開業の「新田老駅」
新田老駅は2020年5月18に開業した、三陸鉄道リアス線41番目の駅です。

田老地区の市街地は津波で被災したため、宮古市は田老駅の北側の山を切りひらき、宅地や災害公営住宅など住宅地を整備。「新田老駅」はこれに伴い新設され、市の施設が併設されている他、周辺には道の駅たろう、東日本大震災の震災遺構(旧田老観光ホテル)が立地しています。
また、三陸海岸の景勝地である三王岩、真崎海岸などへの最寄駅ともなっていて観光にも便利な田老地区の新たな玄関として期待されています。
ちょっと寄り道①
トレイル出発前に少し寄り道。「道の駅たろう」は新田老駅から徒歩10分程、2018年にオープンした新しい道の駅です。観光案内所や食堂、喫茶・軽食コーナーなどがあり、おにぎりやおかずなども販売しています。
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山王園地
「道の駅たろう」より1.2Km、約20分

山王園地にある「山王岩」は岩手県の天然記念物に指定されていて、高さ50mの男岩を中心として、その横に高さ23mの女岩、高さ17mの太鼓岩が並んで立っています。

園地内の遊歩道にはいくつものルートが整備されていて、三王園地から急斜面を階段で下まで降りることができます。​目の前に見上げる岩の迫力と、波と風がつくりだした三陸海岸の自然美を満喫しましょう。 
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震災遺構「たろう観光ホテル」
「山王園地」より700m、約8分

東日本大震災により6階建ての建物の4階まで浸水し、1・2階が完全に破壊されてしまった「たろう観光ホテル」。東日本大震災の大変貴重な震災遺構となっており、震災時の様子や復興の状況を伝えるための「学ぶ防災」プログラムが実施されています。

宮古観光文化交流協会の「学ぶ防災」プログラムは事前予約が必要ですが、防災ガイドさんによる防潮堤の案内や、マスコミ非公開のDVD上映で、生々しい震災の災禍を目にすることができます。
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震災メモリアルパーク中の浜
「たろう観光ホテル」より10.6km 約4時間30分

「震災メモリアルパーク中の浜」は、元々海岸部に隣接する緑豊かなキャンプ場でしたが、震災の際には15mを超える津波が押し寄せ、甚大な被害を受けました。
その後、トイレや炊事棟など被災した一部の施設を保存し、三陸復興国立公園内で震災遺構を活用した初の施設として2014年に開園しました。

震災廃棄物を活用して整備した展望の丘では、目線を津波と同じ高さに置くことができ、展望の丘から見える斜面には、そこを駆け上がった津波の高さを示すサインが設置されており、凄まじい津波の威力といち早く高台に避難することの大切さを感じさせます。
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休暇村陸中宮古【自然にときめくリゾートに宿泊】
「震災メモリアルパーク中の浜」より2km、約40分

メモリアルパークを南下すること約40分、今日のトレイルはここまで。林の中にたたずむ「休暇村陸中宮古」に到着です。
しっとりと落ち着いた雰囲気の和室で寛ぎ、「恵那ラヂウム鉱砂」を使用した人工泉の大浴場で旅の疲れを癒しましょう。
また、三陸の山海の幸を使用した旬のこだわり会席料理と地産地消のビュッフェが人気の料理自慢のホテルですので、たくさん歩いたご褒美にもピッタリです。

2日目のトレイルエリア

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潮吹穴
「休暇村陸中宮古」より500m、約15分

「潮吹穴」は岩の下に海食洞と呼ばれる波の浸食でできた洞窟があり、大きな波が打ち寄せると波の圧力に押されて、上面に開いた幅65センチの隙間から海水が地上に吹き出す岩で、国の天然記念物に指定されています。
吹き上げる潮の高さは、波の高低によって差がありますが、特に波が荒く、北東の風が強い時には30メートルにも達し壮観です。
その反面、風もなく波も穏やかで「トレイル日和」の時は残念ですが潮を吹くのを見学できません。。。
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浄土ヶ浜レストハウス
「潮吹穴」より6.5km、約3時間20分

浄土ヶ浜といえばこの景色!という超定番の「奥浄土ヶ浜」の目の前に位置し、美しい浄土ヶ浜の景色を眺めながら、休憩やお食事などを楽しめる施設です。
周辺には、陸中海岸の「青の洞窟」と異名をとる八戸穴をさっぱ船(小型船)で巡る浄土ヶ浜マリンハウスや、2021年1月11日を持って60年近い歴史の幕を閉じる「みやこ浄土ヶ浜遊覧船」などの見どころも満載です。
ちょっと寄り道②
磯の風味がたまらない「浜ラーメン」や、料理長の目利きで仕入れた鮮度抜群の海鮮など、様々な料理が楽しめる浄土ヶ浜レストハウスの「浜処うみねこ亭」。浄土ヶ浜の風景を模した「浄土ヶ浜カレー」がオススメです。
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浄土ヶ浜
浄土ヶ浜レストハウス 目の前

言わずと知れた宮古市の代表的な景勝地。鋭くとがった白い流紋岩が林立し、一つ一つ違った表情を見せて海岸を彩ります。松の緑と岩肌の白、海の群青とのコントラストはまさに一見の価値ありです。
地名の由来は、天和年間(1681〜1683)に宮古山常安寺七世の霊鏡竜湖(1727年没)が、「さながら極楽浄土のごとし」と感嘆したことから名付けられたと言われています。
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浄土ヶ浜ビジターセンター
浄土ヶ浜より700m、約15分

東北地方太平洋沿岸の南北約300kmに渡る三陸復興国立公園の美しい自然景観や四季の情報をはじめ、三陸復興国立公園を構成する青森・岩手・宮城18市町村の見どころをパネルや映像で紹介しています。

1Fは浄土ヶ浜エリアの詳細ガイドの展示、2Fのシアターでは4つのプログラムが放映されており、三陸海岸の美しい空撮風景、砂浜に打ち寄せる波の音と風景、ウミネコが出す○×クイズなどが楽しめます。
また、スタッフによるクラフトや自然解説などの体験プログラムも実施しています。

2日間のトレイルもここで終了。浄土ヶ浜ビジターセンターからは、JR/三陸鉄道の宮古駅まで路線バスが出ています。JRで盛岡を経由してお帰りに、あるいは三陸鉄道で次なるトレイルへ。旅はまだまだ終わらない!?

みちのく潮風トレイル「宮古市北部~中部」のマップはこちら

みちのく潮風トレイルをさらに楽しみたい方へ
冒頭でもお伝えしましたが、みちのく潮風トレイルの総延長は約1,000kmもあり、今回ご紹介したのはほんの僅かです。

青森県から岩手県、宮城県を経て福島県に至る長大なトレイルコースは、下記のリンク先よりご覧頂けます。

環境省の「みちのく潮風トレイル」ページへリンクしています。