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2021.03.30

王道だけど楽しい鹿児島旅 Vol.1

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スタッフ名:小田桐

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本州最南端の鹿児島とはどんなところ?
九州出身の方にとって東北が馴染みのないエリアであるように、東北出身にとってもなかなか馴染みのない九州。学校の修学旅行で鹿児島よりさらに南の沖縄に行く機会はあっても、その手前の鹿児島は意外と東北の人にとっては行く機会がないんですよね。東北で生まれ育った筆者にとってもこれまで訪れる機会がなかった本州最南端の鹿児島、よく鹿児島と青森の方言は日本有数の難解さを持つなどと言われますが、その鹿児島県に青森県民が行ったらどうなるのでしょうか。やっぱり会話が成り立たないのかなと思いつついざ行ってみると意外な展開が待っていました。結果から言うと.....鹿児島の方言は青森の方言とイントネーションも似ていて、むしろ聞き取りやすかったんです。分かり合えないと思っていたからこそ、喜びが大きくて感動しました。イントネーションの上げ下げの仕方がそっくり。どうしよう、急に親近感が湧いてきた...!詳細は不明ですが、イントネーションだけではなく、単語レベルでも似たようなものが存在するそうなんです。人類みな兄弟とはよく言ったものですが初めて会った鹿児島県民が急に親戚のようにすら思えてきました。それに何といってもみなさんとても親切。「あそこでお花が見頃だよ」とか「あそこに行ったらあれ食べてきてね」とかガイドブックを持ち歩かずとも、新鮮な情報が次々と入ってくるではありませんか...!
そんな気候だけではなく人まであたたかい鹿児島県は、九州の中でも最も面積の広い県で、東京都4つ分あります。今回はその鹿児島の中でも鹿児島の市街地である「中薩摩エリア」についてご紹介していきたいと思います。
天文館むじゃき
コンビニやスーパーでお馴染みの白熊を実は食べたことがなかったのですが、鹿児島へ行く前日に「日光の天然かき氷とはまた違ったかき氷が楽しめるよ。それから、お店の外観もとてもユニークで」と職場の方から教えてもらい、いてもたってもいられず、白熊発祥の地で白熊デビューをしてきました。

Googleマップを頼りに天文館という鹿児島市内の商店街の中を歩いていくと急に現れた二頭の白熊。剥製の白熊とゆるキャラのような白熊。素通りなんてさせないぞと言わんばかりの熊たち。個性的な門構えに圧倒されてお店の前でちょっとフリーズしてしまいましたが鹿児島初心者でもすぐに気付けて有難いですね。一歩踏み出す勇気がなくてちょっとお店の前でウロウロしてしまいましたが、中に入ってみると落ち着いたインテリアでゆったりと食事を楽しめる空間になっていました。
白熊にはサイズが2つありました。通常の白熊とベビー白熊です。注文をしてからお店の方が作って席まで運んできてくれます。運ばれてきた白熊を眺めているとお店の方が「ここが目、ここが鼻、ここが口で上から見ると白熊の顔に見えますね」と親切に教えてくれました。心がきれいな方には白熊のお顔に見えますね?(ちなみに写真はベビー白熊です。ベビーと言っても屋台で売っているかき氷の3倍くらいのサイズ感です)白熊のお顔まわりだけでなく、器の底の方にまでフルーツが入っているので最後まで美味しく楽しく頂けました。

鹿児島市内で白熊を頂いてから、ずっと訪れてみたかった仙巌園を目指します。

天文館 むじゃき

なんだろう?この白い洋館は
仙巌園へ向かう道中に突如現れた白い洋館。気になって近づいてみると、あのシアトル発祥のコーヒーチェーンであるスターバックスではないですか!渋っっっ!自分が知っているスターバックスとは少し雰囲気が違っていたので最初は気が付きませんでした。気になったのでひとまず車をとめて建物を見学してみることに。建物の前まで来るとまた面白いものが目に入ってきました。あれ?普通の白い洋館じゃない...!洋風と見せかけて屋根は日本瓦、そして入り口には島津家の家紋である十字紋。すごい鹿児島っぽいなぁと思っていると、実はこちらの建物は旧薩摩藩主・島津家ゆかりの登録有形文化財でした。正式名称は旧島津家芹ケ野金山鉱業事業所(きゅうしまづけせりがのきんざんこうぎょうじぎょうしょ)だそうです。
2階建ての洋風木造建築の店内からは桜島と錦江湾を一望することができます。店内の設えは薩摩切子からインスパイアされたデザインになっていたり、座席テーブルには鹿児島県産の杉材、屋外ベンチには凝灰岩を使用するなど、随所に鹿児島らしさが表現されていました。

スターバックス鹿児島仙巌園店

薩摩切子工場
スターバックスのお隣には薩摩切子の工場がありました。しかも見学は自由(無料)でどなたでも気軽に見学ができます。では、少しだけその様子を覗いてみましょう~
窯の中で水飴状に溶かされた透明ガラスと色ガラスをそれぞれ竿で巻き取り、気泡の入らないように薩摩切子のベース(生地)を作っていきます。そしてこの2種類のガラスを重ねて(外側に色ガラス・内側に透明ガラス)2層のガラスにします。この2層のガラスを加熱炉でなじませた後、今度はお猪口や杯などに成形します。できたものは、そこから徐冷炉で16時間ほどかけてじっくり冷ましていきます。翌日チェックをして、問題がなければカットの工程へと進みます。カットはダイヤモンドホイールを高速回転させて、水を流しながら行います。カットしていくと表面の色ガラスだけが削り取られ模様が徐々に浮き上がってきます。磨きをかけて表面の曇りを取り、最終検査にかけられて、見事に検査を突破したものが晴れて出荷となります。工場の隣にはギャラリーショップが併設されているので、お土産として購入することもできます。

薩摩切子の工場

登録有形文化財のスターバックスと薩摩切子の工場見学を楽しんだあとは、いよいよ仙巌園に向かいます。
名勝 仙巌園(せんがんえん)
薩摩藩主・島津斉彬(しまづなりあきら)の別邸である仙巌園は、桜島を築山、錦江湾を池に見立てた作庭が見どころの一つです。過去には大河ドラマでも、2008年放送「篤姫」や2018年放送「西郷どん」ロケ地として使われた場所なのでドラマをご覧になっていた方にはきっと見覚えのある景色も多いはず。この日は桜島が少々噴火している様子が確認できました。
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ところでこちらの庭園の持ち主である島津氏がどんな人物かご存知でしょうか。日本の殖産興業(=西欧諸国からの圧力に対抗するために鉄道や造船、紡績などの産業を発展させること)や富国強兵(=兵力を増強させ強い国をつくること)を推し進めた人物としても有名ですが知れば知るほど彼の功績はひと言では語り尽くせぬほどで.....
"豊かな日本を目指すべく外貨を稼ごう"ということで彼はまず貿易に目を付け、西洋と東洋の技術を掛け合わせることで貿易でのヒット商品を生み出すことにも秀でた方だったようです。具体的には当時、西洋から長崎へ渡っていたガラスに、独自のアレンジを加えて西洋人好みのものにした「薩摩切子」や、焼き物に西洋人好みのデザインを施した「薩摩焼」を輸出品とすることで高い利益を得ていたのでした。その伝統と技術は時代を越えた今でも受け継がれ、国内外で人気を博しているのですから、いかに先見の明がある人物だったか、ということも伺えます。

こうして島津氏は、殖産興業と富国強兵を柱として掲げ、現代日本の礎を築きました。海外の文化や新しいもの好きだった祖父の影響を受けて育った島津氏は幼少期から海外の動向によく目を向けていました。そのため、薩摩藩主になってからも海外の動向には常に敏感でした。薩摩国は、琉球王国を経由して、中国(秦)や西欧諸国と貿易を行っていたので、仙巌園の園内にも中国をはじめとする東アジアや西欧諸国の影響を受けた箇所が多く見受けられます。例えば、望嶽楼(ぼうがくろう)もその一つです。こちらは中国スタイルの四阿(あずまや)です。今でこそ、日本各地で当たり前のように見られるようになった四阿も、もとをたどれば西欧→中国→琉球王国→薩摩国と海を越えて渡ってきたもの。仙巌園の園内にあるこちらの四阿は琉球王国が薩摩国に献上したものでした。どのあたりが、中国スタイルなのかと言うと、ポイントは2つ。1つ目が床瓦です(下の写真で、真ん中あたりが少し破損しているもの)。秦の始皇帝が建築した阿房宮(あぼうきゅう)を模造して273枚の瓦が敷き詰められています。そんな大切なものが吹きさらしになっている...(笑)2つ目が内部に飾られている扁額です。扁額とは、建物や鳥居の高い位置に掲げられている看板のようなものです。寺社仏閣巡りをするとよく見かけるアレです。いつも高い位置にあるので文字までちゃんと読まずに素通りしていましたが、実はアレは建物の創設者の想いなどが込めている大切なものだったようです。こちらの望嶽楼の内部にも書道家・王羲之(おうぎし)の書を模倣した扁額が飾られていました。そんなこだわりの詰まったこちらの四阿では島津氏と勝海舟も対談していたそうです。

園内にはこういった形で、西欧や東アジアから伝来したものが随所に見受けられるのですが、植物を植える配置であったり、池の形(風水で最強と言われる八角形の池)であったり、設計ひとつ取ってみても、風水に基づいて配置が決められているものばかりで、モノがそこに置かれていることにはそれなりの意味があるんだなと、じわじわ感じるのでした。風水を気にせずのらりくらり生きている自分のような使用人が”こっちのほうが日当たりもいいし植物を植え替えしちゃおうか~”なんてこの時代にやっていたら、きっとこっぴっどく怒られて即斬首だったんだろうなぁと思うと、当時の使用人の気苦労が伺えます。まぁそもそも、そんな人は使用人として雇ってもらえなかったとも思いますが。
仙巌園での所要時間の目安に90分と書かれていたのに、結局180分滞在していました。休憩は挟まずに展示を熟読したり、広い園内を散策しての180分でした。それでも見られなかったエリアがあるので歴史や自然に興味がある方は、お時間に余裕をもって行かれたほうが良さそうです。筆者の場合は、時計を見ることすら忘れて過ごしていたので、錦江湾に夕日が射し始めていることに気付き、おや?っと思っていたら閉園時間が来ていました。時間配分って大事。

名勝 仙巌園

尚古集成館(しょうこしゅうせいかん)
尚古集成館の館内は撮影が不可なので、ぜひ訪れる際には頭の中をクリアにした状態で、入ったら脳内フル回転で知識を詰め込めるだけ詰めて帰ってきてください。

こちらは日本最古の石造洋式機械工場でしたが、現在は島津家の歴史や文化、南九州というエリアがどのような進化を遂げてきたのかを伝承するための博物館として利用されています。建物自体が国の重要文化財でもあり世界文化遺産にも登録されている非常に希少性の高い建築物です。

今回の目的は仙巌園の美しい庭園を見ることでしたが、こちらの隣接する尚古集成館も誰かに言いたくなるほど目から鱗の情報や歴史が詰まった場所で、個人的には胸が熱くなりました。所要時間は60分程度あると良さそうです。

 

尚古集成館

あとがき
さて今回は鹿児島の中薩摩エリアをご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。市街地から20-30分足をのばすだけで幕末へタイムスリップしたような気分が味わえるのが中薩摩エリアの魅力です。次回Vol.2では『南薩摩エリア』についてご紹介していきたいと思います。それではみなさまHave a nice trip~!

王道だけど楽しい鹿児島旅 Vol.2(2021.4.30)

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